「呆病」辨証録 巻之四
現代の認知症の病状として現れる病症でもあります。
一日中人と会話する事も無く、食欲もなくなり、
ただ突然笑いだしたり歌ったり、
ただただ突然憂い、叫んだり…、
洋服も自分では着ようとせず…
食べ物も美味しいと思わず、変な物を口にしてしまう。
その大きな原因となる体質病証は、
①肝気欝結(かんきうっけつ)
肝臓の働きが悪くなる。
②胃気之衰
胃(腸)の働きが衰える。
この2つ!
肝臓と胃(腸)の働きが低下悪化すると、
飲食の消化代謝が悪くなるため、
余分な不必要な水液物の停滞(
痰濁)が多くなり、
必要な気・血・水(津液)のめぐりが塞がれる。
現代的にいうならば、
脳内に余計なタンパク質がたまり精神活動の異常を引き起こす。
漢方的にいうならば、
痰濁が精神活動を担う心を塞いでしまう。
漢方では、
心に精神が宿るとされます。
これを速やかに改善するための漢方薬とは、
急ぎ停滞している
痰濁を取り除く。
開鬱逐痰・健胃通気
〈洗心湯〉人参・茯神・半夏・陳皮・神麴・甘草・附子・菖蒲・大棗
肝臓はストレス、寝不足、過度の運動、食生活の不規則によってダメージとなる。
胃(腸)は、
食べ過ぎ飲み過ぎ、
同じ物ばかり食べることによる偏り、
濃い味の食べ物などが、機能低下の原因となります。
肝気欝結体質の方は、
認知症や、
慢性肝炎や肝硬変或いは肝臓癌に必ずしもなるというわけではありません。
また血液検査においても、数値が悪くなっているとも限りません。
しかし、
日頃からストレスをため込んでいる体質です。
どちらかというと、
まわりに気使い、真面目に頑張って挑戦するタイプ。
ですから、
何かが原因で今まで出来ていた事が出来なくなってしまうと、
それがさらにストレスとなり、
不安になってしまう。
過食したり、食欲がなくなったり食事にムラが出でやすくなる。
好きな物ばかり食べる。
体に良いといわれる食物やサプリを摂り続けるなどの偏食をする。
認知症の予防は、
このようなまだ病気にはなっていないけれど、原因となるかもしれない体質「病証」の
管理改善が大切なのです。
そして、
最後まで、
自分の足で動くために
「元気な足腰」と自分で
「小便大便」が調節できる。
人と会話をするための
「耳」が能く聞こえる。
食事をしっかりするための
「歯と歯茎」が健康である。
これらの
老化にともない弱くなる状態を予防するためには、
腎臓の働きが要となります。
腎臓は、
骨髄、脳髄の形成に深く関係していますので、
記憶力、知能の発達と低下に関わります。
誰もが年をとるけれど100才でも、
体も記憶力の衰えがあっても、多少の知能低下があっても認知症になることはありません。
認知症とは健全な精神活動が出来なくなり自立した社会生活が出来なくなるということです。
→三鷹の漢方薬局 廣寿堂(こうじゅどう)